今日は「やめたいと感じたら3年間我慢すべきか」というテーマで話を進めます。この問題について、私も明確な結論は出せません。時代の流れを考慮すると、すぐに結論が出ないこともありますが、現在の感覚で、退職をして転職すべきか、美容師自体をやめるべきか、どのように対応すればいいか一つの考え方を紹介します。
この4月に新卒採用された方々がお店に加わることもありますので、美容室のオーナー様、管理職の方、先輩方もどう対応すべきかを考慮しながら解説をお読みいただければと思います。
3年我慢しろの真意とは?
この考え方は一昔前の考え方でもあります。見て学べ。我慢する事が美学。今でも悪い考えではないとは思いますが、美容業界の教育制度も変わってきていますし、様々なツールの発展や体制の変更や改善により効率よく学べるようになりました。下積み期間もさまざまな業種で大幅に短縮されています。
なので昔は本当に合っているのかどうか判断できるレベルになるまで時間がかかった。さらに時代の変化スピードがここまで早くなかったので3年たっても時代は変わっていない。ある意味のんびりじっくり判断できたわけです。
しかし今はそうではありません。3年も経てば世の中180度変わってしまっています。さらに、SNSの発展も加わり、美容師として売れるまで、知名度を上げるまでにも時間がかからなくなりました。23歳で日本のトップに食い込むくらいの人気美容師になる方も出てきていますし、すでにお店を経営されているといった想像以上の結果を出しているかもいます。
なので3年もの年数をもたもた過ごしていたら、置いてきぼりになってしまうなんて事もあります。必ず3年はと固執する必要はないのでは?と感じます
美容師にフォーカスするとどうか?
しかしながら、美容師を続けるか辞めるべきかは、スタイリストになるまでは我慢してから決めることをおすすします。手が荒れたりどうしても合わない理由があれば別ですが、本当にあってないのかあっているのか、時間が経たなければ正しい判断ができない。本来その仕事があっているはずなのに、慣れていない事が本来の要因となって辞めてしまうのは勿体無い。と考えるからです。
私の経験から言うと、最初にやめたいと感じた時は、体が非常に疲れていました。これまで長時間立ち続ける経験がなかったため、朝早くから夜遅くまでの長時間立ち続ける仕事は、足を棒のように感じます。
慣れない環境で未経験の仕事をしながら、お客様やスタッフとの会話も疲れるものです。そうしたことが積み重なり、非常にしんどいと感じていたことを覚えています。
新卒で入社した春には、世界で最も不幸な人かもしれないと感じながら、毎朝シャワーを浴びては仕事に向かっていたように思います。ただこの頃毎日のように辞めたい。と思っていたのは精神的な面、体力面の疲労からくるものでした。夏を過ぎた頃にはこのような悩みは自然と消えていました。
そして次に辞めたいと思う時期。仕事の機会が増えるにつれ、「自分にはできないのではないか」という誤解を抱くことがあります。この誤解は、実際にはできないわけではなく、仕事の内容を知らなかったことや今まで経験がなかったことが原因で、自分は無能だと感じてしまうこと。
これは多くの人が経験することであり、知識があれば、慣れればできるようになるはずのことも、未経験であるがゆえに先輩に叱られたり、失敗が増えたりすることがあります。
「自分は美容師に向いていない」という不安な気持ちになる事もあるかもしれませんが、これは本当に向いていないのか、それともただ知らなかったり、経験がなかったためにできなかったのかというのは、全く異なる状況です。どんな仕事であれ、慣れるまでは大変なもので、経験を積み練習をすればできるようになるのか。その可能性はないのか見極めが重要です。
そして「美容師」が向いているかどうか。現時点でアシスタントとして活動している段階では、本格的に美容師としてデビューしてから1年や2年経たないと、自分が美容師に向いているかどうかは明らかになりません。スタイリストとしてお客様と向き合い、その結果で本来判断されるべきで、
まだシャンプーを始めたばかりで「美容師に向いているかどうか」と口にするのは、不適切な状況だとも言えます。
実は、逆のケースもありますアシスタント時代に自分は美容師に非常に向いていると思い、デビューしたら売れるだろうと意気込んでスタイリストになったものの、実際はお客様からの指名が得られず、真剣に美容師に向いていないと感じる。
実は私の経験談なのですが、アシスタントとして最初のしんどい時期や新卒で入社した4月の辛さに慣れるまで耐えた後、割と自分は美容師に向いていると感じながら時を過ごしました。自分でいうのもですが、テストに合格するのが得意で、デビューまでの期間はスムーズに進んでいきましたが、スタイリストとしてデビューしてからは売れず、同期に次々と抜かれる経験をしました。その時、美容師に向いていないのではないかと思う大きな壁にぶつかったわけです。
美容学校時代に不器用で成績が悪かったり、アシスタント時代に周りと比べて成績や評判が高いとは言えない人が、デビュー後に爆発的に成功する事例も多くあります。実際、私の周りにもそうした例が存在し、私の奥さんも美容師で、最近彼女が話していたのは、学生時代に全く目立たなかった人が今や東京でカリスマ美容師として認められるレベルで活躍しているということです。
このような事例からも、美容師としての適性を早急に判断するのはもったいないという感情は当然存在します。
3年待つ必要はない?
美容師としてのキャリアを3年程度は続けてみるのは良い選択だと思っています。しかし、自分の中でこの考えには反対する意見もあります。
まず、サロン選びを間違えた場合は、3年も我慢する必要はないと考えます。就職前、サイトに記載されていた条件が魅力的で応募し面接時にも確認をとったのに、内容と大きく乖離があるケース、例えば約束された給与や労働時間、提供されるはずのカリキュラムなどが全く異なる場合は、今日にでも辞めても問題ないと思います。
現在、条件が良く、人も良いお店はたくさんあります。美容師を続けるかどうかの決断をお店の要因で左右させる必要はありません。美容師としての仕事自体に嫌気がさしたわけではなく、単にお店やの職場環境、またはそこにいるスタッフさんの人間性に問題がある場合、その理由や人間関係の問題だけで美容師自体をやめてしまうのはもったいないと考えます。環境を変えれば改善される事もある。
そのような状況では、3年間耐える必要はなく、美容師として自分に合った環境を探すことがベターです。早々の離職はイメージが悪いと思われる方もいるかもしれませんが、2024年現在美容業界は圧倒的な人材不足です。求人情報を見てみて下さい。再就職は正直に言うと簡単で再就職がすぐ決まる可能性は極めて高い現状があります。
先輩たちも元からできたわけではない
入社当時に先輩方の仕事ぶりを見ると本当に凄い人たちだなと。レベルの高さに圧倒される事がよくあります。目の前のことに一杯一杯になり視野の狭い状態で何も知らない自分と比較して、圧倒的な差があるように感じる。
ただ今凄い活躍をされている先輩方も最初からできたわけではありません。過去にとんでもない失敗をしてきた方も少なくないので、どんな失敗をしてきたのか話を聞いてみるのも良いかと思います。
相当勇気が出ます。
またしばらくして、仕事を覚えてくると、今までものすごく遠かった先輩の背中が近く見えてくる事があります。将来的には追い抜くことも可能です。
経験値がない時期に先輩方と比較する必要もありませんし、同期と比較する必要もありません。周りではなく自分と向き合う事。これが一番のポイントです。
壊れるほど頑張らなくていい
そして、壊れてしまいそうなほどの大変さを感じた場合は、逃げる選択も重要です。全てを環境のせいにするのは適切ではありませんが、会社や他人を責め続けても、良いお店に出会えず、自分自身の成長も止まってしまいます。全てを外部のせいにするのは誤りですが、実際に自分に非がない場面も存在します。
社会人経験がないとどちらに原因があるのか、このような判断が難しいこともありますが、その時の決断は後からどうにでも対処できます。何よりも、自分の心や体を壊すほど耐える必要はありません。
ただ、このようなパターンで非常に難しいのが自分で自分の状態が理解できないケースが多いという事。
疲れているだけ、経験値がないない事で働くモチベーションが下がっている場合はまだ理性が働き、自分での判断ができますが、精神的に追い込まれたり、疲労も一定のラインをこえ極度の疲労状態になると頭が働きません。大きなストレスを抱え体調を崩してしまう方も実際います。一人でかかえるのではなく、そうなる前のタイミングで周りの方に伝えることも重要ですし、先輩たちや店長、オーナーさんからのフォローが必要な場面も出てきます。相談できる人間関係を店として構築しとくことも非常に重要です。
他の選択肢もある
実際は美容師以外の選択肢も多数あります。疲れているわけではなく、経験不足からのできない。ではなく本当に合っていないと思えば、別の事に挑戦するのも悪い選択ではありません。
もしやっぱり美容師がいいと思えたら復帰すればいい。一度離れてみて分かる良さというのもありますので。
どんな仕事があるのか。もし接客業は好きだけど、美容師がダメだったと考えるなら、美容関係の仕事も他にあります。アイリスト、ネイリスト、エステティシャン。せっかく美容学校に行ってとった美容師免許を活かせるものもありますし、接客業のスキルや、感性が使える職種もたくさんあります。
また、美容業経験の知識や特徴を持ってウェブライターになったり、動画編集者になったりするのも需要があります。
頑張れるところまでは頑張って、どうしてもと言う時は選択肢が一つではない。と思い出して下さい。
美容師は素晴らしい仕事
直接喜んでいただける数少ない職業である
美容業界は自分の技術やサービスでお客様に喜んでいただく事ができ、さらに直接そのシーンに立ち会える数少ない職種の一つです。
喜んでくださるお顔を直接みれ、ダイレクトにありがとうと言われる仕事はそう多くありません。
飲食の業界で働いている調理人の方もカウンターではなく厨房での仕事であれば、美味しいと言って食べてくださる顔を見る機会は多くありません。
ものを作る仕事をされている方も自分の作った製品を使ってどんな顔をされているのかは見ることができません。
職場内全ての方がトップを目指すことが可能
また年功序列の世界でもなく、自分の頑張り次第でどこまでに上がっていける世界。さらに誰かを蹴落とす必要もなく、仲間全員がトップになれる方法と希望もある世界です。
そしていつになっても終わりはなく、ずっと学び続けることができ成長を感じることができる素晴らしい仕事です。可能ならば美容師を目指したみなさんにこのやりがいや喜びを感じてもらいたいなと思います。さらに、スタイリストデビューしていればその後フリーランスとして個人で活動したり、独立したり、選択肢が増え、身につけた経験やスキルは他の業種を選択しても役立ちます。美容師という経験をして様々な業務を通じて得てきたメリットがアシスタントで終わっているのとは比べものにならないレベルになります。
環境が整っているサロンは山ほどある
今見ている世界が全てではありません。拘束時間が長く過酷なイメージの業界ですが、世の中にはお休みも大企業並みに整備されている。お給料もいい。学べる環境も素晴らしい。人もいい。そんなお店や企業はたくさんあるんです。美容師自体を辞めたくなったら一度他の環境を見てみる事をおすすめします。
ぜひ探してみて下さい。きっと今以上のお給料、待遇で楽しく美容師ができる環境があるはずです。
弊社が運営するCLUTCHでは、正社員雇用で完全自由シフト制です。休み回数も働く時間も全て自由、もちろん社保付きの有給完備です。
また将来の選択肢に美容師だけでなく、美容業以外の事業に携わったり立ち上げを経験できたり、条件面以外の整備も進んでいます。もし機会があれば詳しい情報がリクルートページをご覧になって下さい。
まとめ
3年続けるべきか。という神話については、なぜ今辞めたいと思っているのか。その理由や要因を考えてみるべきかも知れません。疲れているだけ、経験したことがない事が続きできない自分だと思ってしまっている場合は、まだ決断するのは時期早々。もしお店の問題だとしたら、転職という決断は今日真直ぐしてもいい。また心や体が立ち直れないほど壊れるなら、3年も待たず、美容師から一旦離れてみるのも良いかと考えます。先の事を考えるのも大切ですが、今の自分もしっかしと大切にしてあげて下さい。何か辛い事があった時に今回紹介した内容が参考になれば幸いです。